死のそばで
8/3/2022
あなたの母親と
あなたの父親が亡くなった
あなたは
心を抉られている
ひとりで座っている
街の喧騒が辛うじて届くほどの
やけにさっぱりとした一室で
今まで耐えたことのないような悲しみに
何十年も前の指の感触を思い出す
あなたは
知っている
あなたは
愛している
その沈黙の抱擁の先で
ささやかに朗らかな終幕の夢が
次なる永逝の付与を準備する
あなたは
はなさない
あなたは
老いてゆく
でもまだそのあたたかな手で
さながら何十年も前のように
僕の手を
なぜ
なぜ
僕らは生きていられる?
なぜ僕らは産まれた?
なぜ太陽の透明な優しさが
僕らの波打つ胸を包むのか?
母よ
なぜ愛するのですか?
なぜ愛がまだここに?
あなたは