雨傘の下
7/7/2022
今朝ちょうど馬鹿みたいに忙しくしてる二十一世紀人類の目の高さで
雪が雨に姿を変えた
「みぞれ」という言葉があるけれども
ちょっと立ち止まってみる余裕もない早朝の人たちにとっては
本当はそんな飾り気のない言葉もキザに思えて
少しばかり使い辛い
「だってこの白粒も所詮雨水じゃないか」
「今後交通機関に影響があるのかどうか、知りたいのはそれだけだ」
──ありとあらゆる種類の物差しをかざしながら彼らはそう口々にして
目前に舞い降りた澄明な炳然たるひとときと出会えないでいる
「もうそんな子供じゃないんだよ」と
多忙に追われるままとうの昔にあなたたちは勝手に割り切って
無意識のうちにリストカットでもするようにして
慣れた手つきで以て自ら喜びにメスを入れてきたが
それがまったく不幸の一因であることにどうして気づかないのか
「だってこんなもんに浮かれたところで何になるってんだ」
「すぐに雨になっておしまいさ」
なおもそんな容赦ない言葉があなたたちの口をつく
だが、そんなことが果たして言い分になるのだろうか
本当に腹の底からそうした感想が出てくるのだとしたら
どうも僕にはあなたたちが喜びの何であるかを知っているとは
ひどく考えにくくなってしまう
少しは素直になって自身を思い返してみれはくれないか
子供の時分に得た喜びというのは
いつまでも変わらずにあなたの喜びであるんじゃないのか
それがいったい全体どこからやって来たのか
どれだけの高さを経て今まさに降りて来たのか
きっとあなたたちには正しく思いを致す余地がないだけなんだ
詩人の腕を見てみてくれ
それにかかればどれほど儚い須臾の喜びでも
永遠の相を呈してその場にずっと留まっているじゃないか