砂漠の領域
9/16/2022
どれだけ学んでも
人は自らを完全には提示し得ない
どれだけ学んでも
あなたにはあなただけの空所が
(まったく
かわいそうな奴らじゃないか
地獄のどん底におとされた
独り身の悪魔のように身勝手で
びっくりするほど愚かだ)
そこは埋めることができない
誰に明け渡すことも叶わない
──できない
──はかり得ない
鏡の前に立つ己自身の
眼の向こうの穴
そのずっと下で静かに眠る
粉砕された夢の数々
──すやすやと夢想する子供のように
おとなしく
かぐわしい──
それらは砂となって夜風に吹かれる
──精神の誰にも知られることのない側面で
毒を分泌するグロテスクな襞をつたって
弔いの鐘もなく世界から外されてゆく──
人はそこには入れない
僕は夜の砂漠にひとり
居を構えてしまったのだろうか
(まったく
かわいそうな奴らじゃないか
「街は壊滅している」
それが奴らの言い草だ
執拗に自己なるものを信じ
他者を信じ
そうして両者を破滅に追い込む)
どれだけ学んでも──
どれだけ疲れても──
どうしてだろうか
僕の弱さだろうか
慣れ親しんだ街の晴れ景色
からの窓枠
生涯の友を見つめている
僕の心は閉じている