白に
9/22/2022
そして再び白く
僕らの夢路は染められてゆく
地平は空を呑んで均一となり
天球の言葉は大地に沈む
開いていたものが閉ざされて
届いていたものが届かなくなる
かつて見えたものが見えなくなり
かつて見えたと囁かれていたものが
忘れ去られる
(僕よ
僕の手の中で
守られよ
守られよ
すくすくと
夢を見よ)
そうして僕らは眩い無垢の遺灰の上を歩く
知らぬものは知らぬまま
それぞれがそれぞれの天球を抱え上げて
自分を運ぶ
手を取って連れ立って歩く仲間がいるのなら
それは良いことだ
でもひとりで行く場合であっても
どうかつまらぬ思い違いをしないでくれ
──君が真剣であることに愚か過ぎて
自分の声を無視できない存在であるのなら
たとえどんな状況下にあっても
君は全然孤独じゃない
それになに、別にちょっとくらい
寂しくなってもいいじゃないか
君の内には原初の人がいる
彼らの音を失った声か
あるいは極限なまでの冷気によって打ち鍛えられた眼差しに領導されて
君たちはこの家なき旅路に就いたのではなかっただろうか
彼ら最初の人たちを供養するために
これまでの歩みだって費やされてきたのではなかっただろうか
君たちは自分自身に縋ってありもしなかった物語を手繰るように
記憶の水底の痕跡を繋いで意味を引き上げてきた
それは君たちが進んで無駄にしない限り
自ずと無駄になどなりはしない代物で
だから君は君自身を
だから君は君自身に
聞かせてやってくれ
誰よりも君自身が
間違った選択に身を委ねないように
──この激しくどよめき
眼を切りつける、風の中
僕らの誰もが、最初の人の息吹を探して
──そして再び白に
僕らの足元も覆われてゆく
そして再び白に
僕らの足跡も攫われてゆく