頌歌
11/8/2022
薔薇の人
あなたが子供でないなんて
ことがあり得ましょうか
子供でなければどうして
棘を身に纏えましょうか
その必要があるでしょうか
あなたに存在を受けている者たちを
惹きつけると同時に突きはなす
痛みを知らないあなたではない
だが希望を失した魂を前に
絶望するあなたでもない
あなたが子供でなければどうして
ひとのこころは固くなりましょうか
光に満ちた世界に
夜がもたらされましょうか
またあなたが子供でなければどうして
ひとはひとを許せましょうか
暗然たる宵に沈んだ町に
確かな朝日が昇りましょうか
なぜ誰も望んでいない苦役と悲哀とで
世の中は成り立っているのでしょうか
なぜ自らに関係のないものたちの輝きで
存在することの尊さにひとの目はひらくのでしょうか
だがなぜあなたは私に無関心であるものたちに
私の生存の全権を握らせたのでしょうか
あなたの破られることのない沈黙もまた
あなたが子供であるが故なのでしょうか
あなたは限りある命に苦しみだけを
授けるのではない
だがまたそうすることによって存在する者たちに
弁解するわけでもない
あなたは答えない
あなたの棘は損なわれない
そうして着実に私の肌を傷つけ
取り返しのつかない老いを刻み込む
薔薇の人
死にゆく者に道を与え
力を授ける
あなたの見えない腕の中では
私もまた子供でしょうか